美しい電燈黎明期の景色

なんと美しい景色でしょう!

旅情詩人と呼ばれた画家・川瀬巴水の展覧会(SOMPO美術館)が現在開催されています。川瀬は大正から昭和にかけて活躍した版画家で、とりわけ陰影の表現が素晴らしく夕暮れから夜にかけての闇と灯りの表情がとても魅力的です。かのアップル創始者スティーブ・ジョブスも大ファンだったようで、そのあたりのエピソードも会場では触れられています。
まさに偶然ですが、時を同じくして明治期に活躍した浮世絵師・小林清親の展覧会(練馬美術館)も開催されるようです。小林は電燈が灯り始めた街の夜景を絵に納め、光線画という分野を確立した才人です。当時、闇の中にほのかに灯る窓明かりが水辺に伸びている美しい様は絵師の心を揺さぶったのではないかと思います。電燈が灯り始めた黎明期の風景は当時では先進的で格好のモチーフであったことでしょう。少し明るくなりすぎた現代の都市夜景の中でその昔に思いを馳せてみるのもいいものです。