本年もよろしくお願いいたします。
昨春に慣れ親しんだ外苑の地を離れ、
御苑に事務所を移転してあっという間にもう1年が経過しようとしています。
時の経つのは本当に早いものです。
昨年は都心や近郊の再開発計画を始め、公園計画、集合住宅、また照明のプロダクトなどで
あわただしく過ごした年となりました。
今年も引き続きさまざまなプロジェクトに携わってまいりたいと存じますので、
お引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。
Photo : 南池袋公園
本年もよろしくお願いいたします。
昨春に慣れ親しんだ外苑の地を離れ、
御苑に事務所を移転してあっという間にもう1年が経過しようとしています。
時の経つのは本当に早いものです。
昨年は都心や近郊の再開発計画を始め、公園計画、集合住宅、また照明のプロダクトなどで
あわただしく過ごした年となりました。
今年も引き続きさまざまなプロジェクトに携わってまいりたいと存じますので、
お引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。
Photo : 南池袋公園
「北のセントラルステーション」と題した本がこの秋発刊されました。
都市計画の加藤源(故人)氏がデザインチームの牽引役となり推進してきた旭川の街と川と駅を一体で整備する「北彩都あさひかわ」の四半世紀にわたる都市デザインの軌跡をまとめた本です。
この街づくりの特徴はランドスケープデザインから街を構想することであり、計画の初期段階では全体の鳥瞰図やディテールのスケッチ(ウィリアム・ジョンソンによる)など街全体のイメージが描かれ、そのイメージをもとに設計が進められていったことです。
デザインチームのメンバーはそれぞれの分野の専門家が指名され、その中に光環境計画として我々も加えていただそれきました。それまで面識もなくフリーランスとなって3年に満たない小さな事務所であったが、加藤氏から直接指名を受け、この壮大な計画に参画できることに胸が踊ったのを鮮明に覚えています。程なくして現場に飛び広大なサイトを歩き、描かれたランドスケープのスケッチから夜の景のイメージを構想するのはかなりタイトなスケジュールであったとは言え喜びであり楽しいものでした。我々が計画に関わったのは四半世紀の一部にすぎませんが、こうやって軌跡の記録の中に言葉や光のイメージが残せたのは意義深いことでした。
その後、加藤氏からは東京の豊洲2・3丁目開発計画でまたお声がけいただき、45haに及ぶ地区のマスタープランづくりから街並みが整うための計画ルール部会を通じて今でも関わりが持てていることに深く感謝しています。
LANDSCAPE DESIGN vol,111の特集2:夜をつくる にインタビュー記事が掲載されました。
「その場に生まれる関係を光が繋いでいく」 日頃のデザインワークの基盤となるスタンスをテーマにお話ししました。壁、床、天井の建物の光環境とは異なるランドスケープ。大地と空の間に計画されていく風景に光がどのように関わるべきか。自然の営みの中で夕暮れが訪れる時の変化の中で、あかりがどのように作用すべきか。光の仕事を進めるポイントや私たちを取り巻く光の変遷や展望などお話ししました。
デザイン事例として、東京の中心赤坂の一角に建つAKASAKA K-TOWERの計画を解説。建築と外構がシームレスにつながるよう光の計画に注力したポイントなどを紹介しています。都市の照明が時の移ろいとともに変わるべく照明シーンの設定を行い、都市の営みとの連携、省資源化への貢献などを実現しています。本プロジェクトはグッドデザイン賞、省エネ照明デザインアワード優秀賞を受賞しており、照明デザインも少なからずこれらの評価に貢献できたと自負しています。
お盆休みがおわり夏も峠を越したとはいえ、
日中はまだまだ厳しい暑さが続いておりますが、
お変わりなくお過ごしのことと存じます。
地球の裏側で連日繰り広げられたスポーツの祭典もひと区切りし、
2020年TOKYOへの道筋が現実味をもって見えてきました。
そのような次代への展望が開ける中、
照明分野では今世紀に入り急成長を遂げたLEDが安定期を迎え、
省エネ、高効率といった環境負荷や経済性のほか、
光の質や制御によって高いクオリティを求める時代に入ってきています。
私たちはこの多様性に富んだ光のツールを用いて、
数年後には大きく変わろうとしている光環境形成に
尽力してまいりたいと思っております。
この春、慣れ親しんだ外苑を離れ御苑に事務所を移しました。
都心で屈指の豊かな緑は気持ちと眼を癒すに格好の場所ですが、
そうそう眺めてもいられません。
2016年 晩夏
トミタ・ライティングデザイン・オフィス
話題のポケモンgoです。
近所の公園でレアポケモンが大量発生して大変だ、
という話を聞きつけ、深夜2時ごろに出かけてきました。
噂に違わずポケモンよりも頻繁にすれ違う人の多さにとても驚いたのですが、
同じゲームを同じ場所でやっているにも関わらず、
その風景がなんとも味気ないなぁ、どうにかならんものか…と思いました。
例えばポケモンを探すシーン。
現状ではプレイヤーがそれぞれのスマホを見続けて特定のエリアを目指しますが…
普段は床面を照らしていた電球色の光が、照射方向も光色もフワーッと姿を変え、
空間全体を美しく彩ることでレアポケモンの発生を伝える、とか。
はたまた、微弱な光がフーーッと光量を増す時に可視光通信が可能になりレアポケモンゲット、など。
コンテンツはともかく、光/実空間の様相の変化がバーチャル世界の変化と連動して、
その変化が当事者のみならず楽しめるかたちになっている。
ゲームなどの舞台でありながら日常利用に差し支えない光空間。
LEDなどは操作性可変性に優れているため、リアルな情報はもとよりバーチャルなものとも非常に相性がいいです。
バーチャル空間と実空間をつなぐ光、ひとが集まってる状態がステキな風景…
今後ARがもっと普及するとき、ハード面の寄り添い方はもうちょっとなんとかできないかなぁと考えさせられます。
南雲
4/2(土)南池袋公園がリニューアルオープンを迎えました。
池袋駅東口から徒歩5分程度の場所にあります。
園内の瀟洒な建物にはカフェが入っており、店内で寛ぐもよし、
テイクアウトで外で楽しむもよし。ステキなイベントも企画されるそうです。
デザインについて、公園は方形型をしています。
中心には広々とした芝生面が広がっており、サクラテラスやリボンスロープ、
カフェや卓球台が周囲にくっつくかたちとなっています。
ライティングはその周囲の場所毎に特徴を生かした光をしつらえていますが、
公園中心部は明るさを抑えた広い芝生面を用意しています。
見通しが効き周囲に適度な光がある、安心できる空間になっています。
駅前の光あふれる環境とは対象的な憩いの場所です。
外で過ごす時間が心地よい春、ぜひ夜の公園にも足をお運び下さいね。
南雲
3/27(土)、みなとみらい21地区に位置するグランモール公園の
「美術の広場」がリニューアルオープンを迎えました。
全長約700mと長い形状をした公園で、美術の広場はその中心的な存在です。
竣工当時のデザインを活かしつつ、ファニチャー、大水盤、芝生広場など
新たな要素とともに生まれ変わりました。
昼と夜で公園の雰囲気は一変します。
また公園の両隣には横浜美術館、マークイズみなとみらいがあります。
ということは公園を中心に…
ショッピングにアート鑑賞、ランチにディナー、
走り遊び憩い寛ぎ口説き語らいぐるぐるぐるぐる…
もう一日中楽しめる場所だということです!
全体の完成も待ち遠しいです。
ぜひ足をお運び下さいね。
南雲
新年の業務が始まって一週間ほど。いきなりのスタートダッシュでしたが、三連休もありようやく心を整えてこれからの一年を展望することができそうです。
さて、事務所を開設して20年目を迎えるこの節目の年に長年親しんだ外苑の地を離れることになりました。事務所を置いている当建物は1964年東京オリンピックのプレスセンターとして建設され、その後民間に移され利用されてきました。新国立競技場の敷地からは外れていますが、都の地区計画決定と建物の老朽化により建て替えが計画されています。また移転先の準備が整いましたらご案内させていただきます。
新しい年を迎えスタッフ一同邁進してまいりますので本年もよろしくお願いいたします。
茅ヶ崎市にある浜見平団地が1期に引き続き、2期工区が竣工しました。
昭和39年に建設された当団地は敷地全体で約23ha、住戸数3300戸以上と
非常に大きい団地のため、部分的にリニューアルが行われています。
どちらもランドスケープ/住棟共用部のライティングをTLOにて担当させて頂きました。
敷地が広く住棟間に十分なスペースがあるため、敷地全体でひとつの団地である意識が生まれるよう、
ランドスケープと建築を一体的に捉えたデザインを目指しています。
内外のベンチ脇に共通した特注フロアスタンドを据え、やわらかい光が一体感と連続性をつくります。
またこのスタンドは波をモチーフにデザインをしており、その他に円弧を活かした青色や白色の
インジケータの光、 マリンライトの採用などで海辺であることを感じさせます。
積層する共用廊下の光は配光を内側に向け、屋外からの見え方に配慮しています。
…などなど。所々に工夫を凝らしています。
多くの団地が老朽化の問題を抱え、リニューアルの在り方が問われています。
光の所作は日没後の団地の在り方を決めることになります。
ライティングデザインはその地域性や特徴を活かし、魅力を高めるものでありたいです。
南雲祐人
だんだんと寒くなってきました。そうなると、今年もやって参ります。
円卓会議・照明楽会のイベントの時期です。
☆ 第2回「クリエイティブ・チャンスメーク」☆
日時:2015年12月5日(土) 16:40〜20:00
会場:東京デザインセンター
入場料:1000円
今年も去年に引き続き、新人照明デザイナー発掘オーディションの2回目を開催致します。
照明デザイナーを目指す学生さんから、30歳位までの若きデザイナーの方など
光や照明デザイン全般のアイデアを10分程度で発表してもらう企画です。
ファイナリストには、照明デザイナーの道を歩む大きなチャンスと、
世界で最も美しい夜景の都市「リヨン」への研修旅行がプレゼントされます。
我こそはという方は、10/31(土)までにご応募ください。
詳しい情報はこちらから↓↓
http://www.bluemoment.jp/entaku2015.html
お盆休みがおわり夏も峠を越したとは言え、日中はまだ厳しい暑さが続いておりますが、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
開催を5年後に控えたオリンピックに関する動向が注目される中、さまざまな分野で準備が進められています。
この先へ永く受け継がれていく確かな未来へのプロローグであることを願ってやみません。
照明はLEDの時代に入ってすでに久しく、明るさ、効率を問うことの次に期待が寄せられています。デジタルな特性を活かした光源や器具をどのようにコントロールして生活環境の向上に努めるかが大切になってきています。数年のうちに大きく変わる環境の中で光のもつ役割や可能性をもう一度確認しておこうと思っています。
2015年 晩夏
トミタ・ライティングデザイン・オフィス
最近は竣工を迎えるプロジェクトが多く、撮影に臨む機会が増えています。
H.Pに掲載される竣工写真は、基本的には所員が撮影した写真を使用しています。
数年、時には10年近く携わったプロジェクトを1,2回で撮影し、
それがH.Pで紹介される…なんと重責な任務でしょうか。
そこで今回は撮影時に注意している点を紹介させて頂きます。
ブルーモーメントと呼ばれる時間帯があります。
日没後に空が青色に染まり、深い青、そして暗くなるまでの時間帯を指します。
青が少しずつ深まっていく中、特に電球色の光はその対比により、
次第に金色に輝くような錯覚を感じるほどに煌めきはじめます。
ここが勝負、なのですが日没から20分前後という実に短い時間です。
そこでブルーモーメントでの撮影時間をできるだけ引き延ばします。
日没前に現地入りし、空間構成と光のデザイン意図をズバリ一枚で説明できるような
印象的な場所を探しますが、その際に必ず方角をチェックします。
方角によってブルーモーメントの開始、終了時間が異なるためです。
当然ですが日は西へ沈むため、空の青は東側からやってきます。
そのため東側の空が入るアングルから撮影を始めると、
西側のアングルでもまだブルーモーメントで撮影できる、というわけです。
順番を間違えると空はあっという間に暗くなってしまうので、とても重要な準備です。
父がカメラマン、という理由で撮影を任せられはじめましたが、
その息子は素人です。しかも父の専門は料理や工芸・手芸が中心で…
などと言い訳をする暇も虚しく、なんとかデザインに見合うような写真を、とやっております。
竣工プロジェクトをご覧の際は是非じっくり見て下さいね。
南雲祐人
これからGWですね。
先日LWを開催しました。
LWとは長期連休ではなくライティングウォーキング、光の街歩きの略称です。
今回は社内での訓練の成果を活かし他の方とやろうと思い立ち、
学生時代の先輩・同級生・後輩とともにTLOの作品紹介をベースにやりました。
約3時間程ねり歩き回りましたが、専門分野が異なるため違った視点での意見が出て面白かったです。
(所内での様子は2014年5月の記事にて)
以下抜粋コメントです。
・そんなとこまで見るのはライティングデザイナーだけ!?
道中に面発光の壁面照明があり、目を凝らすとランプイメージが見えました。
「よく見ると光の筋が見えるかと思います、器具の位置と壁面の距離が近いためです」とお伝えすると、
「そんなとこは全く気にならないよ笑」と返ってきました。
こだわり過ぎとも取れますが、我ながらああプロの視点だなとニヤリとしました。
・バリードライトによるサイン照明はNG?
地歴を紹介する独立型サインがあり、バリードライトによるアップライトで計画されていました。
ある方がその文字を読もうと近寄ると、「あっ、見えない」と叫びました。
バリードライトの上に立っていたためです。文字が読みやすい位置と器具の位置が一致していました。
文字の大きさと器具位置の関係には注意が必要だと気づかされました。
・バルーン照明は意外と人気?
道中に道路工事をやっている場所がありました。
ご存知の方も多いかと思いますが、夜間の工事では輝度と光量の高いバルーン照明(下写真)で明るさを確保しています。
以前から夜の太陽みたいだなと思っていましたが、一人の方が「前から思っていたけど、あれ面白いよね」と言ったところ、他の方も「私も」「僕も」と声が挙りました。目立つものだから、というのもあると思いますが、眩しいなどのネガティブな意見が出なかったことに驚きました。
南雲祐人
西鉄天神高速バスターミナルが3月にリニュアールオープンを迎え供用を開始しています。
高速路線バスの年間利用者数が日本一のバスターミナルです。
施設を使いながらの全面改装はかなり難易度が高く、
また壁や天井内の設備群による制約を受け、度々プラン変更を余儀なくされることもありましたが、
現場との密なやりとりで何とか難所をかいくぐり完成に漕ぎ着けました。
かつての雑然としたターミナルはすっきりとした設えとなり、活気ある拠点として生まれ変わりました。
早朝から深夜まで人が集散する交通の結節点は、わかり易くかつ居心地が良くなくてはなりません。
空間計画やサイン計画などに加え、照明もターミナルの機能性と雰囲気づくりに少なからず貢献できたと思います。
また、ターミナル計画の前から足掛け4年にわたり照明コンサルテーションに携わってきました西鉄ソラリアプラザも
4月末にはリニューアルオープンを迎え、一連の改修が完了しました。
写真提供:AIM CREATE
常磐道・守谷サービスエリアのトイレのプロジェクトが竣工を迎えました。
環境整備のポイントは柔らかい間接の光で空間を仕上げることです。
トイレ設計の第1人者、小林純子さん率いる設計組織ゴンドラといろいろと議論し絞り込んだ重要なテーマでした。
基準照度や汚れへの対応など諸問題をクリアして出来上がったトイレ空間は、
天井が照明器具から開放され光自体が適切に広がることで優しい雰囲気になっています。
フォーカスすべき場所にも間接の光が十分に作用し、機能的でかつ優しい光が省エネにも貢献しています。
3Kと言われたトイレは昔のこと。
今やトイレが快適でなければその施設に人が寄りつかないとまで言われています。
トイレは用を足す場であることは勿論ですが、多様性が求められている新しい場に変わりつつあります。
昨年末、某公園の光実験に参加しました。
公園の特徴である高架橋脚に対して、どんな光がふさわしいかを現場で検証します。
写真はその過程の一部です。
1.太陽光での様子(左)
2.最も広い面に光をあてる場合(中央)
3.高架下に光をまわす場合(右)
光の在り方を変えることで空間の表情は大きく変わります。
暗がりになりやすい高架下に光をともすことで、
形態の特徴を活かし、安心感のある場に変わることがわかりました。
また、同時に検討課題も浮き彫りとなり、
参加された方々と共通認識を持つことができました。
夜の公園の在り方を考えることは、光の在り方を考えることと同意です。
都内だけでも約6000カ所もある公園ですが、
味気ないものが多いのが現状です。
それぞれの場所の魅力を最大限に引き出す光があれば、
夜の公園はその使われ方、周囲の建物との関係など、
人と街との素敵な関係を紡ぐ存在になれるのでは…
そんな可能性について考えを巡らせました。
南雲祐人