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私たちの上半期

年始のご挨拶ブログから半年が過ぎました。いわゆる上半期が終わったことになります。早かったのか遅かったのかよくわからないまま春以降は未曾有の重苦しい時間が過ぎて行きました。
1月~3月  語呂のいい年の初め、さまざまなことに期待を寄せていたのを思い出します。春に向けて竣工する大小7つのプロジェクトの現場が佳境に入っていました。中規模オフィスのPREXシリーズは3プロジェクトがほぼ同時期に最終段階を迎え、夕方になると現場に出向くことが多くなりました。中規模マンションクレヴィアの最終チェックで何度か横浜にも伺いました。UR浜見平の大規模住宅第3期の竣工が近づき、監修業務も最終段階に差し掛かりました。都心の再開発神田スクエアも2月の寒風の中で数回にわたり現場調整を行いました。設計に携わった近郊の駅前再開発も竣工時期を迎えていました。デザインフェーズでは教育機関の案件で札幌、大阪などの出張含め実施デザインの取りまとめ、名古屋の公共事業は成果品のまとめなどで大わらわとなり、いかにも年度末の慌ただしさに追いまくられる日々でした。その間、徐々にコロナ禍による影響が広まりつつあり、社会全体が不穏な空気に包まれてきました。3月下旬の出張はかなり緊張感をもって出かけて行きました。考えてみればその時期の出張が現時点の最後になっています。
4月~6月  事務所は3月の早い時期からマスクと手洗いを心がけ、下旬には時短、ローテーション、テレワークを始めていたので、4/6の自粛要請には比較的スムースに対応できました。その頃はコンペの提出資料の作成や完了間際の成果品などのまとめが継続していましたが何とかなりました。4月の中旬になると電話もメールもかなり減り、新宿御苑辺りは人気もありませんでした。事務所のみんなはテレワークとなり、代表ひとりクルマと電車の交互利用で三密回避の昼頃に出社していました。
所内のコミュニケーションはかなりスムースにできていたかと思います。PC作業は全く問題ありませんでしたが、光の実験やシミュレーションがままならず、ひとりで寂しくテストすることもあり事務所開設当時を思い出したりしていました。竣工間近のプロジェクトは現場監修がおおかた終わっていたのがラッキーでしたが、それらの現場もまだオープンを迎えられない施設もあり複雑な気持ちです。5月の連休明けからは事務所のみんなもテレワークに加え時短+ローテで出社を始めました。この頃、久々の現場行きは緊張感をもって向かいました。6月に入るといろいろ動き出し、新たな再開発プロジェクトが大急ぎてスタートしました。日常が少しづつ戻ってきているようですが、以前とは異なる心構えで新たな日常を過ごしています。
写真:3年前の事務所引越時にいただいた胡蝶蘭が花を終えて久しかったのですが、スタッフが手塩にかけてのお世話の末、この春花をつけました。

2020年謹賀新年

謹賀新年ー2020と並びのいい年を迎えました。オリンピックイヤーの明るく活気ある1年となることを期待しております。さて、昨年はバタバタと慌ただしく過ぎた1年でしたが、去る11月、数年にわたり関わってきた渋谷と池袋の駅周辺プロジェクトが竣工を迎えました。渋谷スクランブルスクエアと池袋西口公園(GLOBAL RING)の二つです。

そうか!あの頃から20年経ったのかと時の流れの速さを痛感してちょっと振り返ると、「ミレニアム」で沸くその最中、この街も注目の的になっていました。

渋谷駅前は2000年前夜、Q FRONTがセンセーショナルにオープンしました。ファサード全体が発光し情報発信するその姿に都市の情報化、建物のメディア化の幕開けを強く感じた記憶があります。

池袋駅前の西口公園を舞台とした「通称IWGP 池袋ウエストゲートパーク」が若者の話題をさらったのが、2000年春の頃だったと思います。石田衣良の原作に宮藤官九郎、堤幸彦といった作り手と今をときめく人気俳優が勢ぞろいのTVドラマでした。

2000年。皆何かの節目を感じて、心の中でスタートを切りました。私たちの事務所も漸く何とかカタチになってきた頃だったと記憶しています。あれから20年、2020年という切りのいい数字を目にして少し振り返り、さて次はどうしようと腕組みをする年の初めです。

photo:池袋西口公園  設計:三菱地所設計、ランドケープ・プラス

残暑お見舞い申し上げます

峠を越したとは言えまだ厳しい暑さが続いておりますが、お変わりなくお過ごしのことと存じます。

今夏は政策的な節電はなく街の明かりも安定化してきているようです。これには新光源として普及を見たLEDも少なからず貢献していると思いますが、最も大きな要因は上手な電気の使い方が自ずと見えてきて、適正な運用が行われるようになってきた証しかと思います。私たちは今後も合理的なスタンスを崩すことなく、照明がもつ魅力や効用を最大限に活かし、生活空間の向上に取組んで参ります。

さて、そもそもヒカリにタカチなどあろうはずはありませんが、光を伴う形が陰影の中で息づきその場の特徴を際立たせることがよくあります。光と陰は図と地の関係に似ており、そのバランスを巧みに創りだすことが照明デザインの真理でもあります。これからも少ないエネルギーと光で空間を形成する創意工夫に心を砕いて参ります。

観測史上最高気温を記録したこの年、まだまだ暑い日が続きそうですが、どうぞご自愛ください。

2013年 晩夏

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赤ちゃんから見た光

私事ですが出産育児の為、長期お休みを頂いておりましたが今春から復帰をし、ようやく感を取り戻し業務に励んでおります。

子育てを行っていると、赤ちゃんの視点から光を見たり考えたりすることが日常的にあります。そして気づくのは、世の中の照明は赤ちゃんの視点から見るとグレア(眩しさ)であるケースが大半なのです。少し大きくなって座ったり歩くようになると変わってきますが、特にねんね時期の場合、抱かれている時以外はほぼ寝かされています。屋外でもベビーカーの移動など、多少角度はついても、下から上を見上げる視点であることが多いのです。

そうなってくると、グレアカットされている器具であっても、真下から見上げることになり、光が目に焼き付きます。いくら視力が未発達であっても直視することが良い影響を示すとは思えません。特に商業空間等の廊下など、ダウンライトが連続してついている場合は、次々に目に眩しい光が飛び込んでくるのです。やむなく室内でもベビーカーフードをかけてしのぐこともありました。

それでは全ての空間で、ダウンライトを使えないのかというとそうではありませんが、例えば寝室であったり、出先であれば授乳室であったり最低限赤ちゃんにリラックスをさせてあげたい場所では、間接光で構成するなど、充分な配慮が必要であると感じます。現状それがなされていないケースもみられるので。ユニバーサルデザインは難しいですが、それがかなえられることが理想であると思うのです。

亀本桃子

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2050 EARTH CATALOGUE展 トークイベントに参加しました。

近々のイベントに関してお知らせさせていただきます。円卓会議・照明楽会がトークイベントに参加しました!

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UIA 2011 TOKYO/2050 EARTH CATALOGUE展 トークセッション
テーマ:「2011 イルドレドへの旅 経済照明から人間照明へ
日 時:2011年9月30日(金) 18:30~20:00
場 所:東京ビル TOKIA 1F ガレリア  〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-7-3
JR東京駅、有楽町駅より徒歩3分 (東京国際フォーラムの北側)
入場無料
http://www.bluemoment.jp/

照明は焔の時代から電気エネルギーの時代へと移り、私達はさまざまな光源を獲得し生活の利便性を高めてきました。3・11の未曾有の出来事以降、街は一気に明るさを失いましたが、一方で大切な事象が見えてきたように思います。経済に導かれた照明の時代はそろそろ終わりを告げ、人が求める照明へと移行する転換期にさしかかっていると思えるからです。今そしてこれから、照明に求められることや出来ることなどについて熱くトークします。是非お誘い合わせの上、ご来場いただければ幸いです。なお、展覧会会場と併設のため席に限りがありますことをご了承ください。

下記よりUSTREAM放送も行いました。
http://www.ustream.tv/recorded/17590164

 

 

 

 

 

残暑お見舞い申し上げます

今年はいつもより厳しい節電の夏となりましたが、如何お過ごしですか。

さて、未曾有の出来事から5ヶ月ほどが経過しましたが、被災地の復興と一刻も早い安心がもたらされるよう心よりお祈り申し上げます。私たちの周辺も状況が大きく変わりました。自粛と節減から明かりを落とした街や建物は改めて照明の大切さを知ることとなりました。環境や資源に立脚した意識に変わりはありませんが、照明計画を行う上で時の変化、用途毎のシーン展開、維持継続などの運用面のデザインにも今まで以上に力を注ぎ、新たな光環境づくりに取り組んで参ります。
2011年 夏
トミタ・ライティングデザイン・オフィス

 

 

 

デンマークその5:エリアソンとルイスポールセンの光

住まいの明かり、大型建築の光の扱い方、自然光の移ろいなど今回は実に多様な光を見ることができました。オラファー・エリアソン(デンマーク生まれのアイスランド人アーティスト)のライティングオブジェもそのひとつです。デンマーク国内にもいくつか作品があるようですが、NEW OPERA HOUSEのメインアトリウムには巨大な球形のアートワークがありました。昨年、金沢で開催された展覧会も観ましたが、それとは異なる氏の建築空間での光を見ることができました。

総じて北欧での照明の歴史とその厚みを改めて再確認するいい機会にもなりました。ひとつの光源を制御すること、人に近い明かりを求めること、陰影や濃淡こそ魅力的であること、タイムレスであること、厳しい風雨に堪えることなど、照明をつくり、使うことの価値を今回ご厄介になったルイスポールセンのショールームやさまざまな事例で再認識することができました。そのフィロソフィーはポール・ヘニングセンをはじめとした先導的デザイナーの明かりに対する飽くなき探究心に礎があることも実感したひとつです。

 

 

 

デンマークその4:チボリの夜/ヘネの夜

この2つの場所のそれぞれの夜の光は人々の生活の両極を見せてくれています。昼の時間が長くなると戸外での活動が楽しさを増します。Tivoli Gardenは子供から老人までが昼夜を問わず憩うことができる場であり、とりわけ夜の時間は格別のようで、そこではもちろん光が主役です。大小さまざまな無数の光が公園全体を満たし人々を惹きつけます。明かりは安全や安心を得る以上に人々が集い心躍らせるかけがえのない存在です。

別の日に訪れたヘネはコペンハーゲンから遠く離れたユトランド半島西海岸にあります。幹線道路から曲がったとたんに景色が一変するほど、厳しい自然を感じる海沿いの地にHenne Molle A Bade Hotelは位置しています。そしてここの夜も格別です。夕暮れ時、ゆったりとした自然光の移ろいの中に小さな明かりが灯ります。それは人の営みに明かりが必要なことをあらためて教えてくれます。

 

左:チボリガーデン 右:バーデホテル

 

 

 

 

 

 

 

デンマークその3:ヤコブセンとウッツォンの建築

ヤコブセンArne Jacobsen とウッツォンJorn Utzonは建築の専門家ならずとも知っているデンマークのビックネームですね。ヤコブセンはデンマークナショナル銀行、SASロイヤルホテルなどの象徴的な仕事を遺し、ウッツォンはシドニーオペラハウスの設計者として広く知られています。今回、ラッキーにもその両者の建築をじっくり見ることができました。

デンマークナショナル銀行の室内写真を撮ることができませんでしたが、エントランスロビーの高い吹抜け空間は圧巻でした。いく筋ものサイドスリットから差し込む自然光はまさに光の造形です。ウッツォンのバウスヴェア教会は天井に回る柔らかな自然光と連なる白熱電球のコンビネーションが相乗効果を生み、どちらの光も生活に欠かせない大切な光であることを教えてくれています。

 

左:ナショナル銀行外観 右:バウスヴェア教会内観