月別アーカイブ: 2013年8月

竣工間近の現場調整

2003年のデザインコンペから足掛け10年の東京駅八重洲プロジェクトがようやく竣工を迎えます。その間、2007年には2本の超高層グラントウキョウノースタワー&サウスタワーが先駆けて竣工し、2012年秋にはノースタワーの商業エリアが完成していました。そしてこのたび中央のグランルーフが完成間近となりました。

10年前に立案した照明コンセプトは今も変わることはありませんが、この間私たちを取り巻く照明環境は大きなうねりをもって変遷してきました。光源は21世紀に入りLEDの時代を迎えここ数年の間にかなり実用化が進んで来ました。他方、一昨年の未曾有の震災はエネルギーの事情を浮き彫りにし私たちの日常に大きな影を落としてきました。グラントウキョウの超高層も今年の春までは節電のため消灯されていたのです。

そのような状況の中でグランルーフが竣工を迎えます。光源は高出力のLEDがギリギリ間に合ったことで、かなりの省エネを図ることが出来ました。また、調光によるコントロールにより運用面も含めてかなりのメリットが出てきています。

白いテント地の大屋根は照射が容易なようでかなり難しい光の条件があることも知りました。白いテントは白い布にあらずで、予測を越えるぎりぎりの調整がありましたが、この9月に無事光を纏うことが叶いました。

さて、八重洲開発はこれから駅前広場が工事に入り、全体の完成を見るにはもう少し時間を要することになります。

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残暑お見舞い申し上げます

峠を越したとは言えまだ厳しい暑さが続いておりますが、お変わりなくお過ごしのことと存じます。

今夏は政策的な節電はなく街の明かりも安定化してきているようです。これには新光源として普及を見たLEDも少なからず貢献していると思いますが、最も大きな要因は上手な電気の使い方が自ずと見えてきて、適正な運用が行われるようになってきた証しかと思います。私たちは今後も合理的なスタンスを崩すことなく、照明がもつ魅力や効用を最大限に活かし、生活空間の向上に取組んで参ります。

さて、そもそもヒカリにタカチなどあろうはずはありませんが、光を伴う形が陰影の中で息づきその場の特徴を際立たせることがよくあります。光と陰は図と地の関係に似ており、そのバランスを巧みに創りだすことが照明デザインの真理でもあります。これからも少ないエネルギーと光で空間を形成する創意工夫に心を砕いて参ります。

観測史上最高気温を記録したこの年、まだまだ暑い日が続きそうですが、どうぞご自愛ください。

2013年 晩夏

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夜景遺産

照明デザインという仕事柄、夜景はかなり敏感に意識していますが、あまり守備範囲になかった夜景遺産というものに、かつて手掛けた「女神大橋」が登録され、九州ではメディアでかなり話題になったようです。私たちはデザインする場合、計画対象の環境条件、都市や社会的位置づけ、ニーズなどを前提に多面的に検討を進めていきますが、女神大橋もそれぞれの前提条件に基づいた目標が徐々に達成できてきて長崎を代表する風景になってきたことの表れだとしたら嬉しい限りです。街をあげての催事が多い長崎ですので橋の桁をつなぐLEDの光は様々な年間プログラムで運用されています。毎年、年間イベントに合わせて事前にプログラム入力をしていただいていることも大きな要因だと思います。この風景が長く市民や訪れる方々に愛されていくことを願いつつ。

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