月別アーカイブ: 2015年5月

ブルーモーメントを引き延ばせ

最近は竣工を迎えるプロジェクトが多く、撮影に臨む機会が増えています。
H.Pに掲載される竣工写真は、基本的には所員が撮影した写真を使用しています。
数年、時には10年近く携わったプロジェクトを1,2回で撮影し、
それがH.Pで紹介される…なんと重責な任務でしょうか。
そこで今回は撮影時に注意している点を紹介させて頂きます。

ブルーモーメントと呼ばれる時間帯があります。
日没後に空が青色に染まり、深い青、そして暗くなるまでの時間帯を指します。
青が少しずつ深まっていく中、特に電球色の光はその対比により、
次第に金色に輝くような錯覚を感じるほどに煌めきはじめます。
ここが勝負、なのですが日没から20分前後という実に短い時間です。
そこでブルーモーメントでの撮影時間をできるだけ引き延ばします。

日没前に現地入りし、空間構成と光のデザイン意図をズバリ一枚で説明できるような
印象的な場所を探しますが、その際に必ず方角をチェックします。
方角によってブルーモーメントの開始、終了時間が異なるためです。
当然ですが日は西へ沈むため、空の青は東側からやってきます。
そのため東側の空が入るアングルから撮影を始めると、
西側のアングルでもまだブルーモーメントで撮影できる、というわけです。
順番を間違えると空はあっという間に暗くなってしまうので、とても重要な準備です。

父がカメラマン、という理由で撮影を任せられはじめましたが、
その息子は素人です。しかも父の専門は料理や工芸・手芸が中心で…
などと言い訳をする暇も虚しく、なんとかデザインに見合うような写真を、とやっております。
竣工プロジェクトをご覧の際は是非じっくり見て下さいね。

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△方角によって空の青の深みにこれほどの差があります

南雲祐人

GWならぬLW

これからGWですね。
先日LWを開催しました。
LWとは長期連休ではなくライティングウォーキング、光の街歩きの略称です。

今回は社内での訓練の成果を活かし他の方とやろうと思い立ち、
学生時代の先輩・同級生・後輩とともにTLOの作品紹介をベースにやりました。
約3時間程ねり歩き回りましたが、専門分野が異なるため違った視点での意見が出て面白かったです。
(所内での様子は2014年5月の記事にて)

以下抜粋コメントです。

・そんなとこまで見るのはライティングデザイナーだけ!?
道中に面発光の壁面照明があり、目を凝らすとランプイメージが見えました。
「よく見ると光の筋が見えるかと思います、器具の位置と壁面の距離が近いためです」とお伝えすると、
「そんなとこは全く気にならないよ笑」と返ってきました。
こだわり過ぎとも取れますが、我ながらああプロの視点だなとニヤリとしました。

・バリードライトによるサイン照明はNG?
地歴を紹介する独立型サインがあり、バリードライトによるアップライトで計画されていました。
ある方がその文字を読もうと近寄ると、「あっ、見えない」と叫びました。
バリードライトの上に立っていたためです。文字が読みやすい位置と器具の位置が一致していました。
文字の大きさと器具位置の関係には注意が必要だと気づかされました。

・バルーン照明は意外と人気?
道中に道路工事をやっている場所がありました。
ご存知の方も多いかと思いますが、夜間の工事では輝度と光量の高いバルーン照明(下写真)で明るさを確保しています。
以前から夜の太陽みたいだなと思っていましたが、一人の方が「前から思っていたけど、あれ面白いよね」と言ったところ、他の方も「私も」「僕も」と声が挙りました。目立つものだから、というのもあると思いますが、眩しいなどのネガティブな意見が出なかったことに驚きました。

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南雲祐人

日本一の高速バスターミナル、出発進行!

西鉄天神高速バスターミナルが3月にリニュアールオープンを迎え供用を開始しています。
高速路線バスの年間利用者数が日本一のバスターミナルです。
施設を使いながらの全面改装はかなり難易度が高く、
また壁や天井内の設備群による制約を受け、度々プラン変更を余儀なくされることもありましたが、
現場との密なやりとりで何とか難所をかいくぐり完成に漕ぎ着けました。

かつての雑然としたターミナルはすっきりとした設えとなり、活気ある拠点として生まれ変わりました。
早朝から深夜まで人が集散する交通の結節点は、わかり易くかつ居心地が良くなくてはなりません。
空間計画やサイン計画などに加え、照明もターミナルの機能性と雰囲気づくりに少なからず貢献できたと思います。

また、ターミナル計画の前から足掛け4年にわたり照明コンサルテーションに携わってきました西鉄ソラリアプラザも
4月末にはリニューアルオープンを迎え、一連の改修が完了しました。

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写真提供:AIM CREATE